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A06班: 冥王代生命学の創成公募班

初期地球解読に向けた陸上蛇紋岩温泉の炭素循環研究
(須田 好・産業技術総合研究所)

 地球史上最大のイベントである生命の誕生は冥王代(46-40億年前)まで遡ると考えられているが、ほとんどが謎に包まれている。本研究では地質記録の乏しい冥王代にアプローチするために、今現在地球上で観測できる自然対象から初期地球を類推する。初期生命が誕生した場所と全く同じ環境は現在の地球上にはないが、重要な本質が共通する環境は存在することが期待される。ここで着目するのは、蛇紋岩を母岩とする温泉/熱水系である。蛇紋岩化作用で形成される高水素濃度環境は、非生物的な有機合成を促進し、且つ太陽光に依存しない生態系を維持できるため、初期生命の誕生場として注目を集めている。従って生命起源研究において、現存する蛇紋岩熱水系の物質循環を理解することは重要であるが、未だ十分に明らかでないのが現状である。

 本研究では特に“炭素(C)”の循環に着目し、現存する陸上蛇紋岩温泉における地球化学的な分析(化学組成・安定同位体組成・放射性同位体年代など)を行う。地球化学データを利用して無機および有機炭素化合物の起源、生成・消費機構を解読して炭素循環の全体像を構築し、蛇紋岩温泉システムにおける岩石—水—生物間の相互関係を明らかにする。