A06班: 冥王代生命学の創成公募班
未知光合成生物の単離による始原的光エネルギー代謝系の解明
(塚谷 祐介・海洋研究開発機構)
本研究の目的は、古地球環境中で生物がどのように光合成能を獲得し、そして進化してきたのかを明らかとするため、国内の特殊環境から既知の光合成生物よりも始原的あるいは進化上過渡的な光合成様式を残す微生物を単離することである。新奇光合成細菌を単離してその光合成器官・色素分子を解明することで、古代地球表層環境の光条件を推定する。単離株の生化学/生理学的分析を経て新種記載を目指す。原始地球では近赤外光が優先したと言われているが、我々の研究グループではこれまでに光合成細菌が持つ近赤外光および可視光吸収型色素の生合成経路を解明してきた。そこで、細菌単離だけでなく同環境中から直接ゲノムDNAを抽出してメタゲノム解析を行い、得られる解析結果および冥王代類似環境データベースを活用して色素生合成酵素遺伝子群の分布解析や始原的な性質を残す光化学系/光捕集系遺伝子を探索して、原始地球の光環境についての具体的な証拠を提示する。