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OLD_A06班: 冥王代生命学の創成公募班

分子化石情報抽出によるRNA World再構成の試み
(岡田 典弘・国際科学振興財団)

本研究のテーマは「分子化石情報抽出によるRNA World再構成の試み」というものである。 まず「分子化石」という概念について説明したい。生命はRNA worldとして発祥し、その後タンパク質合成が起こり、更にDNA worldが生じ現在に至っていると考えられる。そのため現在のDNA worldにおけるタンパク質合成、複製、転写の機構には、このRNA worldの名残が残っているに違いない。それが「分子化石」である。多くの「分子化石」を取り出すことが出来れば、RNA world がどのようなものであったかを再構成することが出来ると考えられる。例えばヒトゲノムの半分以上はレトロポゾンによって構成されている。レトロポゾンとはDNAの情報が一旦RNAに転写され、更に逆転写酵素の働きでDNAが合成された後、再びゲノム中に組み込まれたものの総称である。この現象はRNA worldからDNA worldへの移行時の分子化石と考えられる。従ってレトロポジションの分子機構の詳細な検討により、RNA worldからDNA worldへの移行時の現象を再構築出来るのに違いない。RNA worldはどのように発祥し、どのような展開を見せてDNA worldに至ったのか?という重要な問いの中のひとつに、どのようにしてRNA worldにおいてタンパク質合成系が進化したのか?と言う問いがある。Alan Weiner が提案したgenomic tag modelはその問いに対するひとつの解を提案している。我々は彼のモデルに沿って、様々な分子化石を抽 出することでRNA worldの再構成を行いたいと考えている。