A06班: 冥王代生命学の創成公募班
化学進化を促進する原始金属酵素の探求
(藤枝 伸宇・大阪府立大学)
本研究では、ペプチドが本質的に持っている凝集特性およびその金属配位能に着目し、タンパク質が高度な機能を持つに至った過程を3つのStageに分けて考える(図)。特にStage IとIIにおける触媒活性や反応場としての機能性解明から、ペプチドや簡単なタンパク質をベースとする初期段階生命の形状や機能にアプローチし、当該領域がめざす「冥王代生命学」に新たな切り口を提案する。冥王代において比較的、簡単に合成される小さなペプチドと金属イオン、金属クラスター、そして金属粒子の接合による錯体触媒の存在が化学進化を大きく前進させたと仮定し、冥王代における海水中の無機化合物との様々な錯体形成によって小分子の活性化や様々な反応を触媒するようなペプチド(タンパク質)−金属複合体を作製する。これにより、古代金属タンパク質が均一触媒・不均一触媒の双方として生命の発生段階に果たした役割を明らかにする。